色素性乾皮症とは?

色素性乾皮症(Xeroderma Pigmentosum)とは、光線過敏症の常染色体劣性遺伝性の皮膚疾患のことです。色素性乾皮症の病因は、DNA損傷の修復機能の障害が紫外線によりもたらされることです。また色素性乾皮症は、8群(A~G群とバリアント群)に分類されていて、多くの日本人はA群に属しています。このA群は、皮膚疾患に加えて、進行性の中枢神経障害や末梢神経障害が出現します。色素性乾皮症は、英語名の頭文字から「XP」と省略して呼ばれることもあります。

色素性乾皮症の発症メカニズム

紫外線(UV)は一般的に、細胞内の遺伝子であるDNAを損傷する作用があります。このDNAが損傷を受けた場合には、損傷を受けた細胞が癌細胞となる可能性が高まります。また、真夏の直射日光のように大量の紫外線を含む光線にさらされた場合には、DNAが損傷を受けるだけでは済まされず、細胞そのものが障害を受けることにより、障害を受けた細胞が死に至り、水疱等の火傷のような症状が出ることがあります。このことを一般的には「日焼け」と呼びます。

DNAが紫外線の照射によって損傷を受けた場合通常は、全ての細胞が死に至ったり、癌細胞になる訳ではありません。多くの細胞はDNAが損傷を受けた場合に、損傷部位を修復する機能[不定期DNA合成(UDS:unscheduled DNA synthesis)]を持っていて、損傷を受けたDNAを正常な状態へと修復することができるのです。

しかし、色素性乾皮症患者の場合は、健康な人に比べてDNA損傷部位を修復する機能が遺伝的に低下しているので、DNAレベルの損傷が固定化されるので、それが原因となって異常細胞(癌細胞)の増殖に繋がり、皮膚癌が発生するのではないかと考えられています。

色素性乾皮症の原因

色素性乾皮症の原因は、紫外線(UV)によって細胞の遺伝子に傷(ピリミジンダイマーなど)が生じることによります。私たちの体には、紫外線からDNAに生じたピリミジンダイマーを除去・修復する機構があり、細胞の遺伝子の変異を防いでいるのです。その機構に起こる障害の程度により、様々な程度の障害があるA~G型の7つの他に、除去・修復能が正常なバリアント(V型)を加えて、合計8つの型に分類されるのです。

色素性乾皮症の症状の報告例の大半は遺伝性であり、血族結婚によるものです。日本で多く見られるのは、重症のA型、皮膚がんの発生しやすいV型です。

色素性乾皮症の症状の現れ方

色素性乾皮症の症状の現れ方としては、神経症状、発育障害、皮膚症状、眼の羞明感(まぶしがるこ)などの症状がみられます。出生時には正常な皮膚ですが、生後6カ月~3歳頃の日光暴露後、露出部に異常に強い紅斑や水疱(すいほう)が発生してきます。そして、雀卵斑様小色素斑、乾燥粗造化色素の沈着と脱失を生じて、露出部の皮膚の外観は汚らしい状態となります。高い確率で皮膚の悪性腫瘍を生じます。

色素性乾皮症の皮膚症状

色素性乾皮症患者が紫外線にあたった場合には、皮膚の露出部に異常に強い紅斑や水疱が発生してしまい、火傷のような状態になってしまいます。また、色素性乾皮症患者は、紫外線によって損傷を受けたDNAが修復されないので、皮膚癌になる確率が高いです。

色素性乾皮症患者に皮膚癌が発生する確率は、健康な人に比べて約2000倍もなりやすいと言われています。さらに、皮膚癌以外の癌の発生する確率は20倍と言われています。

色素性乾皮症患者の約75%が3歳までに、色素斑などの皮膚症状が出現します。しかし、大人になってから発症するケースもあります。また、発症の早いものほど重症のA群が疑われ、皮膚癌も早い段階で発生します。特に合併の頻度の多い皮膚癌には、「悪性黒色腫」、「有棘細胞癌」、「基底細胞癌」があります。悪性黒色腫や有棘細胞癌は転移を起こしやすく、死亡率も高いです。

色素性乾皮症の神経症状

日本人に多いA群では、皮膚疾患に加えて、進行性の中枢神経障害や末梢神経障害が発症します。また、B,C,D群の場合でも、神経障害の発症例が報告されています。前述した神経障害については、紫外線の照射量とは無関係であること以外には他に何も解明されていません。

神経障害を伴う群では、若年のうちに死亡する可能性が高いです。特にA群の重症例の場合では、約3分の2が20歳までに死亡していたという報告があります。しかし、現在では運動やリハビリをすることによって神経症状の進行を遅らせることが可能なので、寿命が延びています。神経障害に合併した誤嚥性肺炎などが、主な死因として挙げられています。